バニラ
震えている声で、あたしは東雲さんに言った。

「――あたしを抱いてください…」

恥ずかしいことを言っているのは、自分が1番よくわかっている。

「それ、本気なの?」

そう言った東雲さんに、あたしは首を縦に振ってうなずいた。

このまま帰りたくない。

「やめてって言っても、聞かないからね?」

「――ッ…」

恭吾の唇が、あたしの額に触れた。

背中に彼の手が回ったと思ったら、あたしは優しく押し倒された。

「――んっ…」

彼の唇が、あたしの唇と重なる。
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