バニラ
かわいいなと、俺は思った。

気が強いかと思えばすぐに泣いて、サラリと大胆なことを言ったかと思えばすぐに赤くなる。

もっと理彩のことを知りたいと思った瞬間、
「一緒に暮らさないか?」

俺はそう言っていた。

「――えっ…?」

いきなりそんなこと言ったものだから、当然理彩はキョトン顔で聞き返してきた。

俺も俺で、いきなりだな。

前の彼女にも、その前の彼女にも、いきなりそんなことを言ったことなんてないのに。

「暮らすって、あたしと恭吾が?」

そう聞き返してきた理彩は意外と天然なのか、それとも警戒心がないのか。
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