バニラ
俺は思わず笑いが出てしまいそうになったが、何とか理彩の前でポーカーフェイスを保った。

「実家暮らし?」

そう聞いてきた俺に、
「…1人、だけど」

理彩は少しためらっていた。

「あたし、料理ヘタクソだよ?」

「構わないよ」

「お風呂長いよ?」

「俺は短気じゃない」

どこかで聞いたようなやりとりだな。

そんなことを思った俺だけど、
「じゃあ、一緒に暮らすか?」

「はい」

理彩が首を縦に振ってうなずいたことで、意外と話が早く決まった。
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