バニラ
と思っていたら、
「――んふっ…」

隣から寝息が聞こえたのでそちらに視線を動かすと、東雲さんがあたしの隣で眠っていた。

えっ?

ここ、ホテルなの?

となると、あたしたちがここにいるのはそのホテルのベッドのうえだ。

「――理彩ちゃーん…」

東雲さんが寝言であたしの名前を呼んだものだから、あたしの躰はビクッと震えた。

一体、どんな夢を見てるのよ…。

とりあえず、今はここを出るのが先だ。

そう思って、あたしは急いでベッドから降りようとした。

ズデン

…あたし、すごく隅っこにいたんだ。

「器用な降り方をするんだね」
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