バニラ
こう言うのを世間では“ピロートーク”と言うのだろうけど、あたしが思い描いているものとは正直遠過ぎるなと思った。

「だって、恭吾が激しいから…」

そう言ったあたしに、
「俺が何だって?」

恭吾が聞いてきた。

今の言葉は言わない方がよかった…。

「何でもない」

あたしは今の言葉の続きを黙って置くことにした。

「何よ、気になるじゃない」

そう言った恭吾に、
「恭吾は知らなくてもいいの!」

「あら、そう」

恭吾は大げさに息を吐いた後、クイッと眼鏡をあげた。

そう言えば、恭吾はずっと眼鏡をかけたままだ。

キスした時も、最中でも、恭吾はずっと眼鏡をかけたままだ。

恭吾が眼鏡を外しているのは、お風呂に入る時と寝る時くらいだ。
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