バニラ
恭吾がフッと笑ったと思ったら、かけていた眼鏡を外した。

初めて見る眼鏡のない恭吾の顔に、あたしの心臓がドキッと鳴った。

「知ってる?

理彩」

恭吾の眼鏡のない瞳があたしの顔を覗き込んだ。

「そう言うのを、“好きもん”って言うんだよ」

恭吾がニヤリと笑った瞬間、あたしの唇に恭吾の指先が触れた。

ツッ…と、指が唇をなぞる。

キスされると思って身構えたその時、
「――んっ…!」

あたしの口の中に恭吾の指が入ってきた。

「やらしいね、理彩は」

恭吾がニヤリと笑った。

指が口の中に入って苦しくて仕方がない。

こみあげてくる吐き気に胸が痛くて仕方がない。
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