バニラ
中原と言う名前の人からの電話は、恭吾が出ないことがわかったのかすぐに切れた。

一体、誰なの?

仕事の部下の人?

でも、名字で登録しているって…。

あたしは怖くなって、その人からきた着信を消した。

電源も切ると何もなかったように、携帯電話を元の場所に置いた。

「――恭吾…」

あたしは眠っている恭吾に躰を寄せた。

恭吾を離したくない。

恭吾から離れたくない。

だって、あたしにはあなたしかいないのだから――。
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