バニラ
ズキッと、あたしの胸が痛んだ。

彼女って、部下のこと?

あの“中原”って人?

あたしの中でいろいろな疑問が渦巻いた。

「理彩も食べる?」

「――う、うん…」

恭吾にあたしの気持ちがバレたくなくて、彼に勧められたチョコレートを食べることにした。

本当は、彼女からもらったものなんて食べたくないけど。

銀紙を外した後、あたしは口に入れた。

歯でチョコレートを噛んだとたん、
「――うっ…」

ドロリと、口の中に苦いものが流れた。

度数が高いお酒入りだったんだ…。

「ウイスキーはダメだったか…。

理彩、大丈夫か?」
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