バニラ
「中原、仕事はどうした?」

「主任こそ、仕事はどうしたんですか?」

彼女の問いに、恭吾は呆れたように息を吐いた。

「言ったよな?

お前をいい部下としか見れないって」

そう言った恭吾に、彼女は大きな目をさらに大きく見開かせた。

「――えっ…?」

彼女の口からかすれた声が出てきた。

もしかしたら、恭吾から何にも聞いていなかったの?

「で、でも、この前は一緒に食事に行ったじゃないですか!?」

そう言った彼女に、
「それは中原が相談があるって言うから、つきあってあげたんだろ」

恭吾は答えた。
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