バニラ
その日の夜。

恭吾がシャワーを浴びている間、あたしはソファーに座って本を読んでいた。

あれから恭吾は、ちゃんと中原さんと話をつけたらしい。

「最後は、土下座だったけどな」

そう言った後、恭吾は苦笑いをした。

恭吾が土下座かと考えたら、すごくありえなくて笑えた。

いつも大人な恭吾が土下座なんて、アメリカンジョークもいいところである。

「理彩」

恭吾がバスルームから出てきた。

下半身はちゃんとスウェットのズボンを身につけているけど、上半身は裸で、頭にはタオルをかぶっていた。
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