秘密な彼氏
「美里、やっぱり…」

言いかけた私に、
「もういいよ!」

美里が抱きしてきた。

「あやめの泣いてる顔なんか、私もう見たくない!

悪いのはあやめじゃないんだから!」

あやすように背中を優しくたたきながら、美里が言った。

「そうだ」

美里は思い出したように躰を離すと、私を見つめた。


時計が夜の8時を回った頃、隆志が帰ってきた。

「ただいま」

「おかえりなさい、北川さん」

「えっ?」

帰ってきた隆志を迎えてくれたのは、あやめの親友の美里だった。
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