Foolish boyfriend~5年前の約束~

―――――――
――――――――…


「ええやん、やっぱ舞子浴衣似合うわ」


「杏のおかげやん。ありがとね」


あっという間に浴衣を着付けてくれた杏。髪型も綺麗にしてくれて、自分で言うのもなんだけど、見違えた。


「当たり前やん、うちに感謝しぃ」


「はいはい、してます」


もうすぐ出る時間だし、達哉も待ってるだろうから、急いで部屋に行く。杏は満足したような顔で帰っていった。


浴衣なんて着るつもりなかったけど、やっぱり女の子だし、着るとテンション上がっちゃうね。


ガチャ。


「たーつやっ」

少し待たせたかな。


と思ったけど、達哉は携帯をつついて待っていた。あたしが呼ぶと、パッと顔をあげた。


「見て見て、杏に着せてもらっちゃった」


「どう?」と聞くと、達哉はポカーンとした顔をしたあと


「すっげー、綺麗…」

そう言ってニコッと笑った。


「やっぱ似合うなー、浴衣」


「そう? よかったわ」


達哉もあたしが浴衣を着付けてもらってるときに服を着替えていたから、もうお祭りに行くことにした。



「やっぱ人多いねー」


「だなー」


結構大きな祭りだから、それだけ来てる人も多い。この祭りのメインイベントは、暗くなってからの花火らしい。

それを見るためにみんな来てるんだ。


カップルが多いし。


「あっついなー…」


もしかしたら達哉は、祭りが好きじゃないのかもしれない。さっきから眉間にシワがよってる。


「ねぇ達哉、お祭り嫌いなん?」
< 120 / 128 >

この作品をシェア

pagetop