銀杏
「…待って!一つだけ教えて。お母さんは…お母さんはお父さんを…」
言いかけた言葉はいきなり強く吹いた風にさらわれ…収まった時にはお花畑も川もなくなって、綺麗に晴れ渡っていた空は、一面灰色の雲に覆われた。
「…お…かさ……まっ…
い…かな……」
手を伸ばしてひき止めたいのに届かない。
後…少しで届きそう…。
掴まえた!
お母さんも手を差し出してくれた。
ホッとして目を閉じた。
うっすらと目を開ける。
傍にいるのは…
おばちゃんと…
おじちゃんと…
…尊……
みんなが心配そうに覗き込んでる。
「…どうしたの?」
一斉に安堵の表情が窺い知れた。
「…覚えてないの?お前、また風呂場でぶっ倒れたの。」
…え……?
思わず身なりが気になり確かめる。
よかった…ちゃんとパジャマ着てる。
冷たいタオルを額にあてがわれてホッとする。