銀杏


「…待って!一つだけ教えて。お母さんは…お母さんはお父さんを…」

言いかけた言葉はいきなり強く吹いた風にさらわれ…収まった時にはお花畑も川もなくなって、綺麗に晴れ渡っていた空は、一面灰色の雲に覆われた。



「…お…かさ……まっ…
い…かな……」

手を伸ばしてひき止めたいのに届かない。

後…少しで届きそう…。

掴まえた!

お母さんも手を差し出してくれた。
ホッとして目を閉じた。



うっすらと目を開ける。

傍にいるのは…
おばちゃんと…
おじちゃんと…
…尊……

みんなが心配そうに覗き込んでる。

「…どうしたの?」

一斉に安堵の表情が窺い知れた。

「…覚えてないの?お前、また風呂場でぶっ倒れたの。」

…え……?

思わず身なりが気になり確かめる。

よかった…ちゃんとパジャマ着てる。

冷たいタオルを額にあてがわれてホッとする。




< 600 / 777 >

この作品をシェア

pagetop