銀杏


「ごめんなさい。もう大丈夫。…もう少ししたら二階に上がる。おじちゃんもおばちゃんももう休んで?」

「そう?じゃ、先に休むね。おやすみ。」

「おやすみなさい。」

「……。」

「尊も休んで?明日、早いんでしょ?」

「あ…ああ。うん。」

額に手を当ててため息をついた。



あれは……夢。

夢でもお母さんに会えたのは嬉しい。

『咲』という名前の由来。
お母さんの思いが詰まってる。
初めて知った。

『周りの人を幸せにするには、まず自分が幸せになること』

いつも他人のことばかり考えてた気がする。

リビングの扉の前で足を止めた尊が、もう一度咲の傍に来た。

「咲。」

寝たまま視線を尊に向けた。

「…どうしたの?」

「ほったらかしにして…ごめん。支えなきゃいけなかったのに…悩んでたんだろ?」

「……」




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