四竜帝の大陸【青の大陸編】
「私、貴方にもっと側に……もっと近くに、来て欲しい」

支店で求婚してくれて。
すごく嬉しかった。

「私、欲張りだから」

支店で抱いてくれて。
本当に嬉しかった。

「全部。貴方が全部、欲しいの」

好きだったから。
竜体で出会ったとき、こんなに私を想ってくれる人はいないって思った。

「我はりこのものだぞ? 全て、りこのものだ……やはり、南棟に戻ろう。りこの身体が冷えてしまう」

小さな竜の貴方に。
私は恋をした。
子供のように純粋で、まっすぐな心に魅せられた。
貴方の恋人に、妻になれなくても……‘お母さん‘でもいいから、私を側に置いて欲しかった。

「待ってハク、私! そのっ、お願いがあるの」

言葉を学ぶ。
「お願い? りこのお願い……我が全て叶えてやろう。何をしたい? 何が欲しい?」
 
その理由が、変わった。
言葉を覚える理由は、生きていくためじゃない。

「あのっ! 私、こここん、今度からはそのっ」

貴方に気持ちを伝えたいから。

「こっ……こっ交……ちょっと耳、貸して下さい」

ハクちゃんは自分の両耳を、水平に引っ張りながら言った。

「耳? 好きに使え。千切るか?」 

貸してって、そういう貸してじゃなくて。

「千切らないで。くっついた耳でお願いします」

見てる人も、聞いてる人も。
ここにはいないけど。
貴方にだけに、知って欲しいから。
だから、耳を貸して。
これ、内緒話ですよ?。
内緒なのよ?

貴方だけが、知ってればいいの。
いつもみたいに他の人にぺらぺら喋ったら、絶対に駄目なんだからね!?
持ち主に引っ張られてちょっとダンボな右の耳に、口を寄せ。
わかりやすいように、伝わりやすいように。
ストレートに、言ってみた。


「わ、私xxxxxxxxxxxxxxxxxxんですっ」


ああ、語彙が少ないって嫌だ。
これじゃあ、私が変態みたい。 
いや、もうすでに変態の世界に片足つっこんでた感のある私ですが、ストレート……直球どころか、今のは暴投!?



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