四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんって、セシーさんにはなんか態度が変。
この二人はどんな関係なんだろう?
前にハクちゃんにたずねたら……。

「関係? あの女と我の間には関係など無い。あるのは関係ではなく<記憶>というべきか」

ハクちゃんは時々、意味が分からないことを言う。 
こういった場合、私に分かるように説明することは難しいらしく聞けば聞くほど私は混乱することになる。

「え? ハクちゃん? 記憶って?」
「繋がりは途切れることなく、世界を巡る。あれ自身の意識は無く、力が移る。<記憶>は継がれて永久に重なる」

ごめん。
すみませんでした。
聞かなきゃ良かったね、うん。

「その件は、もういいや。ま、いいかって感じになっちゃった」

私のお得意‘ま、いいか‘……ハクちゃんと出会ってから使用頻度が増してます!
  
『セシー。お仕事、たくさんある。私のため、困るは駄目です。国のお仕事の邪魔。国民の邪魔になる同じ。私、異界で国民。政治の人、働く重要におもてる』

自分で書いた単語帳を見つつ、言ってみる。
セシーさんは柔らかな笑顔を浮かべて答えてくれた。

『そうですわね。でも、気になさらないで。ここに通うことは貴女の為だけじゃないの。国益にも関係してるのよ。……私、計算高い嫌な女で有名なのよ。ねぇ、カイユ殿』
『ええ。そうですね。全くその通りです! トリィ様、ご安心ください。このカイユがお側におります。この女などにお心を許されますな。……トリィ様、私と帝都に参りましょう。我が主もそれを望んでおられます』

二人の美女が私を挟んで、睨み合う。
うう、すごい迫力!

今日の二人は、朝からずっと険悪ムード。
昨日までは、こんな……これほど露骨じゃなかったのに。
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