四竜帝の大陸【青の大陸編】
ダルフェさんは、このドレスを私にくれた。

ーー娘の為に作ったんだから、これは姫さんのモノなんだよ。

そう言って、このドレスをくれた。

春に咲くプレリの花をイメージして作ったのだと、試着をした時にダルフェさんが照れたような笑顔を浮かべて教えてくれた。

プレリは、この大陸では見ることはできない。
赤の竜帝さんの大陸だけにある植物だから。
ダルフェさんの、故郷の花……。

来年も再来年も……その先も。
このドレスを着て、ハクちゃんと踊りたいと思った。
この世界での宝物が、また1つ増えた。

「とりあえず、今着てる服を脱い……うわっ!?」

見ていた鏡に、釣り目をさらに吊り上げたハクちゃんがいた。
慌てて振り返ると、ハクちゃんがカイユさんの肩からジリ君を鷲掴みにするところだった。

「ちょっ……ハクちゃん!?」
「我としたことが、うっかりしておった! こ、この痴れ者めがっ。りこの‘お着替え’を目にして良い雄は夫である我だけだっ! 我の妻の肌を見たら、貴様をトランの火口にぶち込むぞっ!!」
「ゲギギギュッ!? かか、ねね……キキュウィ!」

そしてジリギエ君は。
微妙な発言をしたハクちゃんに拉致された。

お……‘お着替え’ってなにぃい~!?
ちょっといろんな意味で心配になって、着替える前にジリ君とハクちゃんの様子を確認しに温室へ戻ろうした私をカイユさんが止めた。

「トリィ様、ジリは大丈夫です。さあ、脱いで!」

自分で脱げますと言う前に、カイユさんがぱっぱと私の服を脱がし始めた。
なんだかとっても、楽しそうだった。




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