四竜帝の大陸【青の大陸編】
「初めまして、おちびちゃん。僕はセレスティス、カイユの父だよ」

立ち上がったセレスティスさんは、ソファーに寄りかかりながらにっこりと笑った。
カイユさんとよく似ている端整なお顔に浮かんだ微笑みは、とっても穏やかで……甘い。
自分の頬に熱が集まるを感じて、急いで眼をそらした。

「は、初めまして! カイユさんにお世話になっている……ト、トリィです。あの、ご挨拶が遅くなって、申し訳ありませんっ」

「気にしないでいいよ。カイユが許可しなかったんでしょう? 僕もずっとこうして会ってみたかったんだけど、あの子のお許しがでなくてね」

白い手袋をした右手で、自分の顔を撫でながら言った。

「僕とカイユ、そっくりでしょう? 会わせなかったのは、この顔だからだと思うよ。ふふっ……あの子は、意外と恥ずかしがりやさんなんだよね」

この人、まるで水の妖精の……王子様だ。
そう、王子様。
ダルド殿下は本物の王子様だったけれど、私的にはセレスティスさんこそが<理想の王子様>!
小さい時に憧れた、物語に出てくる王子様が本から飛び出しちゃったみたいっ。

女神な竜帝さんがお父さんと並ぶと、なんてお似合いなんだろう……クロムウェルさんには悪いけど。
やっぱり、女神様の隣にはマッチョより王子様が良い。

「僕の娘であるカイユは、君の母親になったようだから……君もジリと同じように僕のことおじい……‘おぢい’って呼んでもいいよ? あ、ヴェルヴァイド様は駄目ね。貴方の方が年寄りだから、おぢい使用不可です」

お、おぢい?
女の子が夢見る理想の王子様みたいな、この人を?
おぢい……!?

「お、おぢいなんて、無理ですっ。王子さ……セレスティスさんって、呼ばせてください!」
「うん、いいよ。ふふっ……‘おじいちゃま’でも大歓迎なんだけどな」

セレスティスさんは水色の瞳を細めて優しく……甘く微笑んだ。


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