四竜帝の大陸【青の大陸編】
「まあ、今のあの子に言っても良い結果にはならないだろうから口にしなかったけど。僕の考えはおちびちゃんとは違う。ダルドが後悔し恐れたのは、自分がこの世界に大きな災厄をもたらしたことだ。自分の軽率な行いが、異界から<監視者のつがい>なんてこの世界にとって物騒極まりないモノを……ふふっ、太古にあったっていう大量破壊兵器の方が、よっぽど安全だよね?」
災厄。
姫さんはこの世界にとって『災厄』だとあんたは、あんたも(・・・)そう言うのか。
「……あの子は災厄でも兵器でもない。そうなるとしたら、それは……」
「そう。兵器と違ってあのおちびちゃんには意思があり、心がある。あの子がこの世界の災いとなるか救いとなるかは、僕達竜族と人間次第だ。無駄に賢く育ったダルドにはそれが分かっている。だからこそ、死んで逃げたかったんだよ」
大きすぎる罪から。
「絶対に……逃がすものか。寿命が尽きるその日まで、苦しみのた打ち回ればいい」
世界を覆いつくす恐怖から。
「あいつをこの世界で生かす! 最高だよ、首ちょんぱなんかより数百倍も素敵だと思わない!? 胸のむかつきも治っちゃった! ああ、久しぶりに清々しい気分だよ、婿殿」
いるはずの無かった<魔王>を、この世界に堕とした。
「気分爽快ついでに教えてくれるか? セレスティス」
気になっていたことがある。
この人なら、何か知っているかもしれない。
「なんだい? ダルフェ」
先代の側近だったというセレスティスなら。
あの件を。
「青の竜帝セリアールは、人間の女に竜族の子を産ませようとしてたんすか?」
俺の問いに。
セレスティスは涼やかな目元に人差し指をあてて、鼓動の速さでリズムを刻んだ。
「……セリアールねぇ。今日は懐かしい名前をよく聞く日だ。……ふふっ、どうしてそんなこと僕に訊くの?」
「以前<黒>の老いぼれと旦那の会話で、ちょっと気になる部分があったんすよ」
黒の竜帝が気にしていたのは、旦那が人間の女を孕ませられるかということだった。
爺さんははっきり言った。
人と竜の混血実験を、先代がしていたと。
「なるほど、黒の竜帝か。あの人、意外と口が軽いんだね。ははっ……ねぇ、婿殿」
「セ……レスティス?」
俺に向けられていた眼差しが、瞬時に変わった。
「あの糞爺も、さっさとくたばりゃいいのによ」
災厄。
姫さんはこの世界にとって『災厄』だとあんたは、あんたも(・・・)そう言うのか。
「……あの子は災厄でも兵器でもない。そうなるとしたら、それは……」
「そう。兵器と違ってあのおちびちゃんには意思があり、心がある。あの子がこの世界の災いとなるか救いとなるかは、僕達竜族と人間次第だ。無駄に賢く育ったダルドにはそれが分かっている。だからこそ、死んで逃げたかったんだよ」
大きすぎる罪から。
「絶対に……逃がすものか。寿命が尽きるその日まで、苦しみのた打ち回ればいい」
世界を覆いつくす恐怖から。
「あいつをこの世界で生かす! 最高だよ、首ちょんぱなんかより数百倍も素敵だと思わない!? 胸のむかつきも治っちゃった! ああ、久しぶりに清々しい気分だよ、婿殿」
いるはずの無かった<魔王>を、この世界に堕とした。
「気分爽快ついでに教えてくれるか? セレスティス」
気になっていたことがある。
この人なら、何か知っているかもしれない。
「なんだい? ダルフェ」
先代の側近だったというセレスティスなら。
あの件を。
「青の竜帝セリアールは、人間の女に竜族の子を産ませようとしてたんすか?」
俺の問いに。
セレスティスは涼やかな目元に人差し指をあてて、鼓動の速さでリズムを刻んだ。
「……セリアールねぇ。今日は懐かしい名前をよく聞く日だ。……ふふっ、どうしてそんなこと僕に訊くの?」
「以前<黒>の老いぼれと旦那の会話で、ちょっと気になる部分があったんすよ」
黒の竜帝が気にしていたのは、旦那が人間の女を孕ませられるかということだった。
爺さんははっきり言った。
人と竜の混血実験を、先代がしていたと。
「なるほど、黒の竜帝か。あの人、意外と口が軽いんだね。ははっ……ねぇ、婿殿」
「セ……レスティス?」
俺に向けられていた眼差しが、瞬時に変わった。
「あの糞爺も、さっさとくたばりゃいいのによ」