最後の恋、最高の恋。


私が言葉にしないと勘違いする、と思っていたとしても、たとえそれが私に好きになってもらおうと努力しているからであったとしても、言葉にすることはとても難しい。


照れたり恥ずかしかったり、色々な感情が邪魔をしてすんなりと素直な気持ちを言えるのって、言葉にするほど簡単なことじゃなくてとても難しい。


男の人で、こうやって言葉にしてくれる人は今まで付き合った人の中にはいなかったから、とても新鮮で、とても恥ずかしくて、……すごく嬉しい。



「私も、そうやって坂口さんが言葉にしてくれるひとつひとつが、とても嬉しいです」


私も正直に。

ドキドキしながら言葉にする。


こういうときめきを感じながら、好きな人と電話をしていると、“恋してるな”なんてしみじみしてしまうけれど。


想い思われる相思相愛な“恋愛”をする勇気はまだ持てない。


きっと“好き”が降り積もって、溢れ出たらもう伝えずにはいられなくなるんだろうけど。


それまでは、一方的な“片思い”をじっくり味わいたい、なんて思うのは贅沢なんだろうか。


< 105 / 337 >

この作品をシェア

pagetop