最後の恋、最高の恋。
『うん、俺も美月ちゃんがそうやって言葉にしてくれるのがすごく嬉しい』
「……一緒ですね」
『だね』
電話の向こうの坂口さんと笑い合う。
まるですぐそばにいるような感覚で、すごくくすぐったくなる。
『じゃあ、また連絡する』
「はい、私も暇なときメールしていいですか?」
『もちろん。 早いけど、お休み』
「おやすみなさい、明日も仕事頑張ってくださいね」
『ありがとう、おやすみ』
いつまでも続きそうなやり取りにそこで区切りをつけて、私は電源ボタンを押した。
携帯から聞こえる無機質な音をぼんやり聞きながら、通話時間が表示された画面をじっと見つめる。
“坂口さんの言葉が嬉しい”、なんて、好きっていうより恥ずかしい気が今更ながらにしたけど、言ったものは取り消せないし、取り消すつもりもないから困る。
わたしはきっと、この恋を持て余している。
始まったばかりの恋なのに、今まで感じたことがないくらい深く想っているだなんて……。
今までしてきた“恋”が、まるで、おままごとのような気持ちに思える。