最後の恋、最高の恋。


そんな感傷的な気持ちに浸っていた私の携帯が短く震えた。

操作してみると、メールはさっき電話をしたばかりの坂口さんだった。


そのメールの内容は、まさに青天の霹靂だった。



“ウサギな美月ちゃんを待ち受けにしたいと思います”



その文だけだったらきっと分からなかっただろう。

でも、さっきお姉ちゃんが携帯をいじっていたのを知っている。

そしてお姉ちゃんの携帯には、さっき私をこれでもかってくらいに撮った写真があるのだ。


ゆっくりと携帯からお姉ちゃんへと視線を移すと、リビングの食卓テーブルに頬杖をつきながら、微塵も悪いと思っていないような天使の微笑みを浮かべてこちらを見るお姉ちゃんがいた。



……だから、その笑顔には弱いんだってば……。


強制的に何も言えなくなった私は、やり場のない想いをやり過ごしすために1つ大きくため息をついて、携帯へと視線を戻す。

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