最後の恋、最高の恋。
今日の先輩は胸元のスカーフは二人ともネクタイのように結んでいて、後輩の藤田さんは水兵さんのような結び方だった。
受付業務をしながら、初めて来られたお客様の特徴を暇なときに言い合ったりして、覚える特訓をしたりしている。
私の覚え方も、先輩に“美月ちゃんの性格ならこう覚えたらいいんじゃない?”とアドバイスを受けたものだ。
今は藤田さんの特訓に先輩と一緒に付き合っている。
入社して半年がやっと経ったばかりの藤田さんは、常連のお客様は覚えられてきたのだけれど、たまにひょっこり顔をだすお客様はまだうろ覚えだ。
「あのお客様は?」
本日最初のお客様が玄関前に横付けされた車から降りたのが受付に座っていても見えて、それをいち早く見つけた先輩が顔に早くも笑顔を浮かべつつ、後ろにいる藤田さんに小さな声で問題を出した。
「えっと、本日予定されていたお客様ではない、ですよね?」
「そうね、違うわ。 きっとアポなしのお客様よ」
すでに車から降りたお客様が玄関の自動扉をくぐり、カツカツと床を鳴らしながらだんだんと近づいてくる。
今日の予定にはなかったお客様だけど、この人は結構頻繁に来社する。
この会社の副社長の親友らしくて、その時々の用は会社に関係のない事だったり、依頼だったり、本当様々だ。