最後の恋、最高の恋。



そんな私を今度は片腕でやさしく抱きしめて、もう片方の手は頬に添えられて、やっぱり坂口さんと強制的に視線を合わせる状況にさせられた。



「普通に仲裁に入っても聞く耳持ってくれなくて、最終手段があれだった」



“あれ”というのがあの日のあの状況を指しているというのは分かったのだけれど、それを簡単に鵜呑みにしてしまうほど私は素直じゃない。



「それを、信じると思う?」

「信じて、としか言いようがない。 俺が好きなのは美月ちゃんだけだし、それは今までの俺を見れば分かってもらえていると思ってる」



じっと私を見つめてくるその瞳は、揺らぐことなく私から視線を外さない。



この場を取り繕うだけの作り話かもしれないのに、自分の心が早くも揺らぎ始めてるのが分かる。

でも、それを止めるのは、さっきのお姉ちゃんの様子だった。




お姉ちゃんなら、何より先に否定してくるはずのにそれをしなかったのは、坂口さんへの気持ちに嘘がないんじゃないだろうか。

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