最後の恋、最高の恋。


学のお母さんは私よりも背が高くて、ふにゅっとした柔らかい感触に顔が包まれる。

……ぜったい私よりお母さんの方が胸大きい、とちょっぴり悲しくなってみたりして。


それでもこうやって抱きしめてくれたってことは、少なくとも嫌われてはいないんだと嬉しくなった。



「志保、離してあげなさい」


そう言ったうっとりするようなアルトの声は、学と似ているけれど学より少しだけ低くて、声の方に視線をやれば学の未来の姿と言っても過言じゃないくらいに学と似た男の人がいて、視線が合うとにっこりと微笑まれてまるで未来の学にそうされたような錯覚に陥ってしまった。

学じゃないと分かっているのに、学の未来を見て言えるようであり得ないくらいに心臓が早鐘を打つ。


「はじめまして、学の父の坂口覚(さとる)です。 どうぞ座って」


ソファに座りながらゆったりとした笑みを浮かべるお父さんは、やっぱりカッコイイ。

学もかっこいいけれど、歳を重ねた貫録というか、男の色気が学の比じゃない。

きっと会社でも女の子たちに人気なんだろう、と容易に推し量ることが出来る。


< 274 / 337 >

この作品をシェア

pagetop