最後の恋、最高の恋。
そんな私に詳しく教えてくれたお母さんが言うには、こうだ。
学に本気の彼女が出来たとお姉さんから聞かされた雪さんは、その時にいかに私と学がヘタレ同士かってことを力説されたらしい。
確かにお姉さんには私の部屋でのぐだぐだしたやり取りを聞かれていたわけだからそう言われても仕方がないんだけれど、ちょうどその時一緒にいたお母さんは、私と学はたいていのことじゃ別れないくらい好きあってるから、二人とももうヘタレなんかじゃないわよと反論したらしい。
そこでお姉さんとお母さんが喧嘩になって、じゃあ確かめてみましょうという運びになって私に顔を知られていない雪さんに仕掛けてもらうことになったそうだ。
「言われたとおり掃除機かけ始めてこっそり泣いてた時には茜の言い分が正しかったかなーなんて思ったんだけど」
「私の言った通りだったでしょう?」
「確かにね、あの状況でちゃんとコーヒーを出せるのも理性的に志保さんが来ることを言えたのも確信してたからでしょう?」
からかうような声音でそう訊ねられて、「……確信?」と聞き返す。
「学が美月ちゃんだけを愛してるっていう確信」
ふふん、と意味深に目を細めながらはっきりと言われて顔から火を噴くかと思った。