最後の恋、最高の恋。


「に……似合わない、ですか?」

「うん、だって美月ちゃんの顔って可愛い顔なんだもん、そういう大人なメイクはかえってちぐはぐになっちゃうよ」


人差し指で頬をつつかれて、「背伸びしないで等身大の自分に見合ったメイクしないと」と的確な指摘。

それに曖昧に頷く。



大人な女に、早くなりたいんだもん。

内面ではとうてい追いつけないから、外見だけでもお姉ちゃんみたいに、綺麗な大人な女になりたいと思うから、このメイクをしているのに。



……似合わないって思ってたけど、こうきっぱり言われてしまうと結構痛手だ。



「……でも、童顔だから会社で後輩になめられるかな、なんて思っちゃって」


当たり障りのない言い訳を言ったのに、お姉さんは顔色を一切変えずにあっさりばっさり切り捨てる。



「あら、可愛い顔に可愛いメイクをしていった方が、可愛さアピールで負ける気なんかしないじゃない」

「……可愛くなんて、ないんで」


苦笑いで否定したら、お姉さんは目に見えてがっかりした顔をした。
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