最後の恋、最高の恋。
だって、自分に自信が持てない。
持てるわけがない。
みんな私に愛想を尽かすんだもん。
みんなお姉ちゃんを好きになるんだもん。
それが何年も続いたら、自分が嫌いになるのなんて当たり前じゃない。
自分を好きになれなくて、自分を蔑むのなんて、当たり前じゃない。
コンプレックスの塊になって、当たり前じゃない。
心の中に、どろどろと黒い感情が溢れてくる。
「それでも、それが美月ちゃんだ。」
「……そうね」
「そうなってしまうまで、春陽と比べられ続けてきたからこうなった」
「そうなんでしょうね、春陽ちゃんの名前出すだけで震えるくらいだものね」
拳を握ったのに、その微かな震えにお姉さんは気づいていたんだ。
「俺は、俺が好きな美月ちゃんを、俺と一緒にもっと好きになってもらう」
坂口さんのその言葉に、必死で浮かべていた笑顔すらもうできなくて、とうとう涙がこぼれた。