最後の恋、最高の恋。



なに、なんなの?

この姉弟の無言の笑顔の睨み合い……。


なんか間に挟まれた私が一番挙動不審なんですけど。

ちらり、店内にいたもう一人の店員さんが店の裏から顔を出したけど、二人の睨み合いを見つけたとたん、素早く裏に戻ってしまった。



えぇー……、そこは“どうなさいました?”とか言って、二人を何とかするべきでしょう?


そんな、ある意味私と同じ状況にいて、私と違って逃げれる境遇にいた名も知らない店員さんに八つ当たりまでしてしまう。


それくらいに、この板挟みの状況が恐ろしい。





「……わかったわよ」


沈黙を破ったのは、ため息をついたお姉さんだった。

そして、さっきの無言の間に、姉弟間で目で会話していたらしい。





「ここは私が払わせていただきます」




< 89 / 337 >

この作品をシェア

pagetop