彼氏の余命を知ってる彼女。


また頬をつねり、夢かどうかを確認する。


…やっぱり痛い…。


ヒリヒリと痛んだつねった所を押さえていると、死神が鋭い瞳の目線を上へ向けた。


私もゆっくりその目線を辿るとあの数字の書かれていない時計が映しだされる。


「これって…普通の時計ですか…?」


真顔で心情じゃ無いオーラを醸し出している死神に恐る恐る問う。


こちらを向いた死神の赤い瞳に私の顔が映り、不覚にもドキッとしてしまった。


「君ら人間の生活で必要な時刻を表す時計では無い。

これは、生物個人の寿命を表すデス・クロック(DEATH CLOCK)と我々は呼んでいる」



デス…クロック…。


平然と言っているが、何か凄い事をスラッと言っている気がする…。


そして、今私はその生物の“誰か”の寿命を表しているデス・クロックの前に立っているんだ──。



    





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