彼氏の余命を知ってる彼女。


「…この針がもし12時を指したら…どうなるんですか…」


バクバクとうるさい心臓をよそに、次から次へと私の口から質問が飛び出す。


質問攻めを受けている死神は、嫌な顔一つせず淡々と答えてくれる。


「針が正子(しょうし)を指した時、この者の命の灯火は消え、帰らぬ人となる」


帰らぬ…人。つまり────“死ぬ”ってことだよね…?



それを聞いた瞬間、カタカタと小刻みに身体が震え出す自分がいた。


夢…なのに…。ここは夢の中なのに…どうしてこんな怖いの…?


目の前に生物の命の寿命が表されている。そして、それはあと二、三分で12時を指す…。


命が一つ…消えるんだ────。


    




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