≡ヴァニティケース≡
もう十数年は居座っているのでは、と思っていた美鈴は「あのオヤジ、自分も新人なんじゃない!」と叫びたくなった。
「けど、仕事はごっつい出来はるし、うちらも感心しとったんです。それに、前はあないにつんけんしとらんかったように思いますねんけど、最近はえらい変わり様で……」
「やっぱり自分の立場が脅かされると思ってるんでしょうか……」
美鈴は勢い込んで宇佐美の顔を見た。身体を乗り出した振動でテーブルの紅茶が零れるのも今は気にしていられない。
「どうどっしゃろ。でも大城はんが見えはってから、あないなってしもたんは確かどす」
やはり思った通り、美鈴の存在が蒔田を刺激していたのだ。そうに違いない。美鈴はより核心へと近づく為にこう切り出した。
「突然ですけど……私、病院からの帰りに二度程襲われそうになったんです。それって……」