≡ヴァニティケース≡
だが考えてみれば、美鈴を守っていた筈のパーカー男はどこだろう。拐われる前、確か彼は近くに居た筈だ。女が市街地で拉致されて、無理やり車に乗せられて、そのまま運ばれて行くのを阻止出来ないのなら、彼らの存在意義こそが怪しい。そんな存在は金を貸さない融資係程度の意味しか持たない。オブラートで出来たコンドーム並みに趣旨を満たさない。期待しなくても済む分、最初から居ない方が余程マシだ。
「ご苦労様でした。また事後処理をお願いしますので、その時は連絡します」
「お任せ下さい」
部屋では……と言っても美鈴から姿は見えないのだが、二人の男が話を続けていた。
正直、聞かなければ良かったと思う。或いは日本語が解らなければ良かったとも思う。
────ちょっと待って! 事後処理って何よ。私に関する事後処理って……私の死体を処理するってこと?……私……殺されるの?────