≡ヴァニティケース≡
その変化に気付いたのだろう。男は凌辱の手を美鈴の核心に近付けてきた。拘束衣の前を裂き、裾を掻き分ける。暴かれた胸からは汗の匂いが発散し、開かれた脚からは女の馨りが立ち上る。
愛の営みは、愛情がなければただ野獣の行為そのものだ。女は惨めに組み敷かれ、無様に脚を開かれ、ただ体液を吐き出されるためだけに存在する、欲望の捌け口でしかない。それを知っていて、なのに濡れている自分を認める訳にはいかなかった。
卑劣漢の愛撫などに負けたくはない。これを認めたら女の敗北を意味する。女性器など【不確かな器官】だと認識して、快楽をやり過ごそう。だが、美鈴にはその適切な方法が見つからないのも事実だった。