≡ヴァニティケース≡
やっと状況を把握したのか、七三男は何かに打たれたように携帯電話を取り出すと、慌ててどこかにコールする。
「もしもしお嬢様ですか、大変です。たった今、邪魔者達がここに……」
塚田に促された部下がスタスタと七三男に近付く。その手には大振りのモンキーレンチが握られていた。
「いえ、解りません。……もしかしたら、奥様の手の者かも知れません」
背中を丸めて電話している七三男の背後に立ち、
「おい、お前。余計なお喋りしてんじゃあ……ねえぞっ!」
なんの躊躇もなくレンチを振り下ろした。