≡ヴァニティケース≡
すると突然。緩んでいた地下室の空気を切り裂いて、高周波の爆音が鳴り響いた。
コンクリートに共鳴したその音が部屋に居た全員の耳に衝撃を与える。危険を察知した塚田たちは反射的に踞った。
────今度は何? 何の音? 耳が痛い! 痛い! 何も聞こえないっ!────
美鈴の耳はその直後、ただキンキンと耳鳴りがして止まなかった。それがやがてジンジンと鈍い痛みに変わっていき、暫くすると微かにくぐもった声が聞こえてきた。
「……ょうさん。そんな物騒なもの持ち出して、怪我でもしたらどうするよ。ほらお嬢さん。いいからこっちに貸しな!」
それはパーカー男、塚田の声だった。後から来た女は銃でも持っているのだろうか。彼は腫れ物にでも触るように優しく、しかし強い説得口調を崩さない。