≡ヴァニティケース≡

「質問に答えんかい! はぁっはぁ、誰に頼まれたんや! はぁっ」


「フンッ」


 塚田は頬をひきつらせるようにして笑うと、こう言った。


「それはな、お嬢さんも良く知っているお方だ。そりゃそうさ、娘が人を殺すのを黙って見過ごす親は居ねえだろ」


 その言葉を聞いた女の顔がみるみる紅潮していった。顔の毛細血管全てに血液を巡らせているかのようだ。本来は美しいであろう顔は見る影もなく、内に湧いた怒気を顕現させている。般若が表わす怒りの形相でもこれほどではないだろう。


「やっぱり……あの女やったんか! 何が悪い言うんや! そいつはニセモンなんやで」


「何が悪いってそんなこと、俺たちには関係ない」



< 246 / 335 >

この作品をシェア

pagetop