≡ヴァニティケース≡
美鈴は人間だ。機械では勿論ない。仮に人間を創った時に神様が、「どうだい。ちょっと見てくれ。なんにも居ないんじゃ地上も殺風景だからさ、人間ってのを創ってみたんだ。触ってみろよ。よく出来てるんだぜ。こいつは上の口から食べて下の口から出すだけで70年くらいは動く。しかも止まったら土に還るってえ、優れものだ」などと嘯いていたとしても、それに従うつもりは毛頭なかった。
美鈴には全てが他の誰かの思惑どおりに運ばれているのが、とりわけ京都に来てからの一連の流れが気に入らなかった。自分には知る権利がある筈だ。
「ええと、貴方達はボディーガードなんですか?」
おずおずと尋ねてみた。返答は期待出来なくとも訊いてみる。質問だけは、してみる。