≡ヴァニティケース≡
「ははっ、そんなかっちりした商売をしている風にみえるか? 俺達は金さえ貰えりゃ汚いことだってする、裏の何でも屋さ」
どんな事でも良かった。手掛かりが欲しかった。
「裏の、と言う事は……犯罪とかも?」
「まあ……な。だが、悪いがあんまり詳しくは教えられねえ。解るだろ?」
瞬間、ルームミラーに写る男の表情が険しく歪んだ。この顔つきは、依頼されればどんな犯罪でも辞さない者のそれだ。美鈴に危害を加えないのも、現在の雇い主がそう命令しているからに過ぎない。普段ならば、あまり深く関わっていい人物ではないのかも知れない。
「でも、今は私を守ってくれているんですよね?」
「今は、そうだな」
「じゃあ、皆さんに私を守るよう依頼した方って、どなたなんですか? 勿論私も知っている人なんですよね?」