ジェフティ 約束
「ラルフ、お前の剣をその横に立ててみろ」
 ラルフがおとなしく部屋から戻ってきて、皮製の鞘からそれを引き抜いたとき、どうして今まで何も気が付かなかったのだろうと、そのことの方が驚きだった。
 カタンという音を立てて改めて並んだ二本の長剣は、驚くほどその形が似ていたのだ。
 ラルフの剣の装飾は最小限に抑えられているように見えるが、実はブルーペクトライトの石をはめ込んだシルバーの台座には、細かい彫刻でアラベスク模様が刻まれているし、鍔元から剣先に向かって一直線に掘り込まれた溝は、シェシルの剣にも見られた。翼のように広がる鍔の表面にも、薄っすらと空想上の神獣の姿が、まるで生きているかのように躍動的に踊るように掘り込まれていた。長さもまったく同じ。
 そして、それよりも何よりも、この二つが決定的に同じ作り手のものだと分かるものが刀身にある。
「お前のものは、とてもきれいに手入れされている」
 シェシルも立ち上がると、その二本の剣の前に立つ。
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