ジェフティ 約束
 肩にかけた起毛した紺色のマントが、長身をよりいっそう引き立て、高貴な空気さえまとっている様に見える。
 エドは満足そうにうなずくと、ここまでする必要があるのかといぶかしむアスベリアを送りだした。
 ナーテ公の鼻を明かしてやれと、エドはアスベリアの遠ざかる背中に心の中で語りかけた。今の自分が周囲にはどのように見えるか、アスベリアは分かってはいない。しかし、君様方の心はどう動くかな?
 さて、この見ものを実際目にすることができないのは惜しいなとエドは苦笑した。

 エイリア=ナーテ公。第二都市オルバーの領主ハドルス=クレテ公の唯一の実子である。もちろん、王弟の息子という地位にあり王位継承権を持つ王族だ。しかし、このナーテ公、趣味が女狂いというところが父親と一緒で、非貴族階級はごみ同然と思っているところも同じ。自堕落で豪奢な生活を送り、およそ国政というものには参加せず、ただ自国の財産で醜く増大し続ける肉塊のごとき姿だ。
 ――挙句、国王の間か……。
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