ジェフティ 約束
「私にも分からないよ。ただ……嫌な胸騒ぎがした……」
 シェシルは立ち上がると、素早くマントを羽織る。
「ここを出るぞ」
 ラルフはえっ?と顔を上げた。
「この街を出るのか?」
 ラルフも慌てて自分のマントを羽織り、長剣を背中に背負う。

「人ごみの中で買い物をして、夜に街から出るほうが人目につきにくい。それに、できるだけ夜のうちにここを離れたほうが、何かと安全だからな」
「まだ、休んでなくていいのかよ」
 ラルフはシェシルの抱えていた荷物を受け取ろうと手を伸ばしたとき、シェシルの手を掴んだ。
「!」
 その手は、ハッとするほど氷のように冷たかった。ラルフはその冷たさに鳥肌が立ったと同時に、シェシルもあの場面を夢で見ていたことを確信した。なぜ、同じ夢を。
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