ジェフティ 約束
「大丈夫だ。逃げ道も考えてある」
 ラルフが黙り込んだことを、これからのことを心配してのことだと思ったのか、シェシルは少し笑いながら自分の剣を掴んだ。
 ――本当か!?俺は知ってるんだぞ。シェシルが相当な方向音痴だって事を。
「どこを通るんだよ」
「お前に説明してわかるのか?」
 ――ほら、それってやっぱり強がりだろ。また適当なことを言って。
 だが、面と向かっては言えないのだ、これが……。
 ラルフはわざとふて腐れた声を上げた。
「わからないよ!きいてみただけだろう!」
 そう言いながら、戸口へと向かおうとするラルフの腕をシェシルは掴むと、ぐいっと自分のほうへと引き寄せた。さっとラルフの口を手でふさぎ、声を封じる。
「しっ!ラルフ、これを持つんだ」
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