ジェフティ 約束
「痛!……え?」
 さっさと大股で森の中に入っていくシェシルの背中をラルフとインサは二人で見つめた。
「い、いいの……。姐さん」
「いいか!連れて行ってやる。その代わり、少しでも疑わしい行動を取ったり、足手まといになりそうだったら、すぐに殺す!」
 インサの表情がぱっと明るくなった。
「ありがとう!姐さん!」
「姐さんって呼ぶな!」

 ラルフは、シェシルが荷物を二頭の馬に移し分けるのに手を貸しながら、シェシルに笑いかけた。
「なんだ!」
 むすっとちょっとすねた様な顔が、やけにかわいらしかった。ラルフはシェシルが照れ隠しに怒鳴り散らしているのだと気がついたのだ。
「シェシルって、お人好しだな……」
「お、お前と一緒にするな!」
 ラルフはシェシルの優しさを分かっていた。シェシルもそんな自分のギャップに気がつき、らしくないとでも思っているのだろう。しかし、ラルフにはそれがとてもシェシルらしいと思うのだ。
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