ジェフティ 約束
コドル山脈に分け入って数日、三人は道なき道をただひたすらにかき分けて進むしかなかった。頭上をさえぎる針葉樹の枝、どんよりと雨雲が垂れ込める空を見上げて、ラルフはため息を吐く。
――気をつけないと簡単に方向を見失うぞ。
しかし、さらに自分の前をずんずんと進んでいく二人に目をやり、ラルフは両の肩ががっくりと落ちた。
「二人とも、早くここを抜けたいのは分かるけど、むやみやたらにただ進めばいいって訳じゃないんだ。ここで道に迷ったら、もう絶対に抜け出せないよ」
三人が今いる位置は、コドル山脈の標高の低い森林地帯とはいえ、草原地帯からも、街からも最も遠い場所だと思われた。ラルフが知るテルテオの南側に広がる彷徨いの森など、さして問題ではないと思えてくる。木々があまりにも密集して生えているため、焚き火を熾(おこ)して暖を取ることも、しっかり横になって休むこともできず、獣のざわめきに耳を澄ませ、木の幹に体を預けて浅い眠りにまどろむことしかできなかった。
ラルフのすぐ前を歩くインサが振り返った。
「前に進まなきゃ、どこに進むってんだよ。ここには木しかないんだぜ?」
――気をつけないと簡単に方向を見失うぞ。
しかし、さらに自分の前をずんずんと進んでいく二人に目をやり、ラルフは両の肩ががっくりと落ちた。
「二人とも、早くここを抜けたいのは分かるけど、むやみやたらにただ進めばいいって訳じゃないんだ。ここで道に迷ったら、もう絶対に抜け出せないよ」
三人が今いる位置は、コドル山脈の標高の低い森林地帯とはいえ、草原地帯からも、街からも最も遠い場所だと思われた。ラルフが知るテルテオの南側に広がる彷徨いの森など、さして問題ではないと思えてくる。木々があまりにも密集して生えているため、焚き火を熾(おこ)して暖を取ることも、しっかり横になって休むこともできず、獣のざわめきに耳を澄ませ、木の幹に体を預けて浅い眠りにまどろむことしかできなかった。
ラルフのすぐ前を歩くインサが振り返った。
「前に進まなきゃ、どこに進むってんだよ。ここには木しかないんだぜ?」