ジェフティ 約束
 馬を降りた男たちは何かを話し合っているようだったが、その内の三人がまた馬に跨り、一人は川上へ、後の二人は川下へとそれぞれ駆け出していった。
 シェシルは、身をかがめて目の前を通り過ぎる馬をじっと見つめていたが、少ししかめた表情でラルフとインサを振り返ると再び下りてきた斜面を登り始めた。
「奴らはここで後方の軍が到着するのを待つつもりだろう。私たちはここから離れて川上に移動だ。ここは野営地になるからな、できるだけ離れたほうがいい」
 三人は身を低くした状態で慎重に斜面を登り、野営地から声の届かないところにようやく三人の姿をすっぽりと隠すことができる岩場を見つけ、その足元に身を寄せ合ってうずくまった。
「あいつら、一体なんだろう?」
 今日はもうここで一夜を明かすつもりのシェシルは、荷物の中から油を染みこませた布をつかみ出して草の上に広げている。
「さあな。山賊の風体ではあるが、多分そんな輩じゃないだろうよ」
「ここにどのくらい居るつもりかな」
 ラルフは心配げに、岩場の隅から川岸を盗み見た。
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