ジェフティ 約束
 シェシルが口を開く前にラルフはとっさに謝る。
「ごめん!」
 シェシルは少し諦めたように短いため息を吐くと、さっき自分が身をあずけていた岩肌に再び腰を降ろした。
「……スヴィテル……か」
「…………え?」
「いや、なんでもない」
 シェシルはそのまま身を丸めて再び眠ろうとする。ラルフはそんなシェシルに慌てて声をかけた。
「……シェシル」
「なんだ。私を怒らせるようなことを言うなよ。奴ならこの距離でも殺気に気がつきそうだ」
 ラルフを睨むシェシルの双眸がちらりと輝いた。
 ラルフは口をつぐんで一瞬考える。
 ――怒るだろうな、多分……。
 しかし、今言っておきたかった。どうしても。
「シェシル、あいつら……ジェイを狙ってるんだ。……だから」
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