ジェフティ 約束
自分に用意されたそれら粗末な防具や剣を身につけ、貧弱な身体でよろよろとしながらも、それでも確かに自分の国、王の為、戦場で戦う自分を思い描いたのだ。
なんの訓練も無いまま、アスベリアは突然、戦場の真ん中に連れ出された。
――よく生きて戻れたよな。
右も左も赤の他人。男たちが力任せに体でぶつかり合い、それが敵なのか味方なのかさえ判別できなかった。すべての人間が憎しみを抱き、恐怖の一線を超え、狂気へと踏み入ってゆく。エドが言っていた――地獄の入り口――いや、そこは地獄そのものだった。
アスベリアはただ逃げ回っていた。男たちの流した血肉が染み込んだ大地は、歪みぬかるみ、アスベリアの足首を掴んで引きずり倒す。恐怖が、骨の芯までアスベリアの体を凍りつかせた。ひたすらに泥にまみれ降り注ぐ血をかぶりながら、壮絶な叫び声を耳の奥に刻みながら、その中を這いずり回った。
次に連れていかれた戦場も、その次も、そうやって生き延びてきた。
――オレはどうしようもない卑怯者だ……。
自尊心は打ち砕かれ、感覚は麻痺してくる。戦場の狂気への陶酔と、命の軽さ。アスベリアはそんな中でかろうじて自分を繋ぎとめようともがいていた。
なんの訓練も無いまま、アスベリアは突然、戦場の真ん中に連れ出された。
――よく生きて戻れたよな。
右も左も赤の他人。男たちが力任せに体でぶつかり合い、それが敵なのか味方なのかさえ判別できなかった。すべての人間が憎しみを抱き、恐怖の一線を超え、狂気へと踏み入ってゆく。エドが言っていた――地獄の入り口――いや、そこは地獄そのものだった。
アスベリアはただ逃げ回っていた。男たちの流した血肉が染み込んだ大地は、歪みぬかるみ、アスベリアの足首を掴んで引きずり倒す。恐怖が、骨の芯までアスベリアの体を凍りつかせた。ひたすらに泥にまみれ降り注ぐ血をかぶりながら、壮絶な叫び声を耳の奥に刻みながら、その中を這いずり回った。
次に連れていかれた戦場も、その次も、そうやって生き延びてきた。
――オレはどうしようもない卑怯者だ……。
自尊心は打ち砕かれ、感覚は麻痺してくる。戦場の狂気への陶酔と、命の軽さ。アスベリアはそんな中でかろうじて自分を繋ぎとめようともがいていた。