ジェフティ 約束
「お前は何を成すためにここへ来た!逃げろ、生きるんだ!」
 何度もエドがアスベリアの襟首を掴み、窮地を救ってくれた。
 殺し合い、憎しみ合い、そこからは何も生まれてはこない。それを嫌というほど知ったというのに、アスベリアは戦場から抜け出すことが出来なかった。戦場で逃げ回っているうちに、アスベリアは気がついたのだ。自分には帰る場所が無いのだと。生きていくところは、もうここしか残されていないのだと。

 そうこうしているうちに、アスベリアの周りの男たちはどんどんと姿を消してゆく。生き残り戦場から戻るたび、アスベリアの地位は、彼の功績とは関係なく少しずつ上にあがっていった。
 ただ、生きて帰ってきた、というだけで。
< 402 / 529 >

この作品をシェア

pagetop