ジェフティ 約束
 本気で戦い抜いた男たちは、次々と命を落としてゆく。いとも簡単に人間が死んでゆく。それを尻目に、生き抜けばそれだけで己の夢は近づいてくる。何という残酷な現実、矛盾すらも生きていればこそ。
 いつしかアスベリアは、馬に跨り戦場を駆け回っていた。もう、村を飛び出した頃の自分の夢は、消え去ってしまっていた。エジバドガの戦いでベラス=ナズラ上将軍に見初められ、小隊を任されるようになった。戦場では戦う道具としてではなく、駒を動かす策士として名を馳せた。
「人間ひとつは取り柄というものを持ってるもんだなあ」
 アスベリアの目を見張る出世に、エドもその周囲も驚いた。

 そんなときだ。あの男に出会ったのは……。
 ――ノリス=ぺルノーズ。
 その名を思い出すだけで、アスベリアの心のどこかがちりちりと、苛立ちにも似たものが蠢(うごめ)いた。
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